国内研修(幌延深地層研究センター)に行きました
場所:日本原子力研究開発機構 幌延深地層研究センター (北海道天塩郡幌延町)
期間:2016年8月29日 (月) ~ 8月31日 (水)
2016年9月に予定している欧州研修では、スイスにある放射性廃棄物の処理・処分関係の実験施設を訪問することになっています。日本原子力研究開発機構(JAEA)の幌延深地層研究センターでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発を行っています。そこで、本センターを訪問して事前調査を行いました。4期生と5期生の計6名が参加しました。
概況説明の様子
当センターでは、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発として、地層科学研究及び地層処分研究開発等を進めています。地上からの調査研究である第1段階、坑道掘削時の調査研究である第2段階を経て、現在は地下施設での調査研究である第3段階を実施中です。
職員の方から概況説明をしていただいた後、作業着・ヘルメット・非常時のライト等を装着し、エレベーターに乗って地下350mの調査坑道に入坑しました。試験坑道で実施されている各種試験状況の説明を受けました。
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坑内での見学の様子1 | 坑内での見学の様子2 | 坑内での見学の様子3 |
世界の原子力国の共通課題である高レベル放射性廃棄物の最終処分は、我が国でもいずれ確実に必要となる重要な研究です。今回初めて自身の眼で確かめる機会を得た学生たちは、職員の方からの説明に熱心に耳を傾けていました。
「ゆめ地創館」は、地層処分の理解を促進することを目的に建設されたPRセンターです。館内には各種展示物が置かれてあり、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究内容が紹介されています。
地層処分への理解を深めるための、人工バリア(オーバーパックと緩衝材)の実物や緩衝材定置試験設備を用いた実証試験など、高レベル放射性廃棄物の処分に関連する技術の研究状況とその成果が展示してあります。実規模試験施設は地層処分で用いられる人工バリア(ガラス固化体、オーバーパック、ベントナイト緩衝材)とこれらを定置する緩衝材ブロック定置装置が実規模で製作され展示されています。
簡単な試験キットを使用して、緩衝材が水を吸って膨潤し貫通しても水が漏れてこない試験を全員で実施しました。これによって、緩衝材が処分材料として有効であることが体感できました。
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真剣に実験中 | ゆめ地層館内での展示見学 |
質疑応答では、見学を通して生じた疑問をはじめ、研究や実験に関する専門的な質問、欧州との研究協力、研究成果の公開など、数多くの質問をすることにより、放射性廃棄物の地層処分について積極的に学ぶことができました。
質疑応答の様子
<最後に>
羽田空港から旭川空港へ飛び、バスでJR旭川駅に向かい、特急「サロベツ」で目的地の幌延駅に到着した時は東京を出発してから7時間以上が経過していました。列車は野生動物の衝突で一度止まり、線路に野生動物が2回ほど入ったり、線路上に看板が風で倒れたりして、当初の予定より遅れました。
東京23区とほぼ同じ広さの幌延町は、人口は約2,500人、乳牛は1万頭以上飼育しており、近くのトナカイ牧場にはフィンランドから導入したトナカイが20数頭いて、廻りは大草原が拡がっています。海も近くて釣りが盛んであり、冬には4つあるスキー場でスキーが楽しめ、大自然に恵まれています。
この地で放射性廃棄物の地層処分に関する研究開発がさらに進展して、我が国の安全基準の策定や実施主体が進める最終処分事業の基盤情報として活用される日がそう遠くないことを期待します。
研究施設を案内して下さった職員の皆様、美味しい食事を作ってくれた宿泊施設のお母さんたち、暖かく迎え入れてくださった幌延の皆様、どうもありがとうございました。